認知症と相続放棄に関するQ&A

文責:所長 弁護士 古田 裕佳

最終更新日:2024年10月17日

認知症と相続放棄に関するQ&A

Q相続人のうちの一人が重度の認知症の場合、その相続人が相続放棄をするためにはどうすれば良いですか?

A

 相続人の中に認知症の方がいる場合、認知症の人のために、成年後見人の選任を裁判所に申し立てて、成年後見人に相続放棄をしてもらいます。

 成年後見人とは、重度の認知症の人に代わって手続きを行ってくれる人のことを言います。

 成年後見人を立てるためには、裁判所に申立てをしなければなりません。

 詳しい手続きについては、裁判所のホームページをご確認いただくか、弁護士にご相談ください。

Q成年後見人を立てて相続放棄をしてもらう場合、期限などはありますか?

A

 相続放棄は、原則、被相続人(亡くなった人のことをいいます)の死亡を知り、自らが相続人となったことを知ってから、3か月以内に手続きを行わないと、相続放棄ができなくなります。

 もっとも、成年後見人を立てて行う場合は、成年後見人が被相続人の死亡を知り、自らが相続人となったことを知った時から3か月以内に手続きをすることになります。

 ここで注意点として、成年後見人の選任を裁判所に申し立てたが、成年後見人の選任が認められなかった場合、原則通り、被相続人の死亡を知り、自らが相続人となったことを知ってから3か月以内に手続きを行う必要があることになります。

 つまり、成年後見人の申立をした後、3か月の期間が過ぎてしまい、結果的に成年後見人が立たなかった場合、相続放棄ができなくなります

 このような事態にならないためにも、期限が過ぎてしまいそうな場合は、3か月の期間を延長する手続きを行ったり、成年後見人を申し立てる際に、裁判所に相続放棄予定であることを伝えたりするといった対策が必要です。

 相続放棄は、期限が大切なので、困った時は、弁護士に相談されることをおすすめします。

Q認知症の程度が軽度な場合であっても、相続放棄をする場合は成年後見人を立てる必要がありますか?

A

 認知症が軽度な場合は、成年後見人を立てて、相続放棄をする必要はありません。

 通常通り、相続人本人が相続放棄の手続きを行うことができます。

 もっとも、認知症になっている相続人に補助人や保佐人がついている場合は、補助人や保佐人の同意が必要になる場合があります。

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